介護職の手は仕事道具

数年前の私の結婚式の日の出来事。写真撮影でポーズつけるため私の手を取ったカメラマンがハッとして「ご主人、手が柔らかいですね~、女性みたい」と言った。私は内心「えっ?何それ?」と戸惑っていたのですが笑ってごまかした。実際に、自分の手をさわってみると確かにゴツゴツはしてない、、でもそんなびっくりするほど柔らかいかな?と自分では思い、ちょっと心外な気分でした。今まで言われたことなかったですし。

そんなことが、ありながら式も無事終わり、日常に戻って介護の仕事(当時は高齢者の入居施設)をしていたある日。着替えの介助をしながら「あっ、介護って人のからだにふれる仕事だ!」と気づいたんですね。ということは、私の手が柔らかいのは、身体介助の場面で役にたってるのではないか?

認知症の方で何故それをやるのか理解難しい場合など、ふれる手の違いが与える安心感に影響してるかもしれない、、。 そう考えるようになってから、手のメンテナンス(クリーム塗るなど)するようになりました。介護職の仕事道具は「手」である、、!

入浴介助、トイレ介助など、肌にふれる場面は多いし、よりプライベートな部分に近くなる。そこで手でふれることで安心感というメッセージを発してる。意識的にはふれ方を変えることでコントロールできます(ユマニチュードの技法参照)。ただ無自覚な部分で、ふれる手の質感はコントロールできない。手が固くてゴツゴツしていたらこの人は近寄りがたい印象だ、、なんて思わせてるかもしれない。私の場合は無意識的にメリットがあり、気づかない恩恵を受けていたことも有りそうですね。ケアがスムーズにいった時、自分の介護力(声かけやコミュニケーション能力)があるからだと思っていましたが、実は手の質感が大きな影響を与えていたなんてこともあったりして。(それはそれでショックですね笑)

質感もそうだけど、手の温度もあるかもしれない。私は冷え性で冬場は冷たくなるのでとても困る、、、。ホッカイロであたためるなど対応しますが中々難しい。手のあたたかい人というのはとても良い印象を与えますよね。このように考えていくと、「手のチェック」をすることは介護職にとって必要だと気づきました。まずは自分でふれてみる。やわらかいか?固いか?手が荒れていないか?温度はどうか?さらには、家族、できれば職場の同僚にさわってもらい感想を聞く。そうすることで、今まで無自覚だった、手のひらのメッセージを意識化することができる。 うまくいかないケアの場面で、これが原因だったらもしかしたら改善する可能性だってある。

もっと大きくいうと、介護の仕事というのは、自分の無自覚なメッセージを意識化する、そしてそれをコントロールする仕事 、なのかもしれませんね。