第四回ワークショップのレポート

7月も終盤になって暑くなってきましたね。こんにちは、土田です。実は私、7年間勤めていた職場を退職することになりました。介護職は続けていく予定ですが、何だか人生の転換期。もちろん、このワークショップは続けていきますよ。

、、というわけで、7月に第四回 介護にかかわる人のための演劇ワークショップを開催しました。少し時間がたってしまいましたが、以下、レポートです。今回は初めて体育室を使いましたが解放感があってよかったですね。

最初はウォーミングアップ。椅子に座ったままできるストレッチをやりました。実は私、ケーブルテレビでやっている介護予防の番組に、はまっていまして。その番組のストレッチから今回厳選して組み立てています。椅子に座ったままできて肩甲骨や股関節にもアプローチできるというのがポイントで、介護現場でも使えそうなものばかりです。次回以降もやっていこうと思いますので興味がある人はぜひご参加下さい。

脇を伸ばしたり
股関節にもアプローチします

次に、30秒タイムアタックというゲーム。目をつむって、30秒ぴったりを当てるというゲームです。一番近い人が優勝となります。最初は普通にやって、次は30秒超えたら失格というルールを付け加えました。早めに手を挙げても、他の人が失格したら勝てるわけですね、ちょっと駆け引き要素が生まれました。最後は目を開けたままでやってみる。お互いの様子見の場面、ちょっとハラハラしましたね~。30秒の感覚をつかめたところで、自己紹介回し。お題は「最近はまっていること」を「30秒」以内に話します。短い?でも大丈夫、これは二週します。二回目が来るので話したりなかったら続きを話してもいいし、別の話をしてもいいのです。色んな趣味や好みが聞けてちょっとワクワクしましたね。朗読だったり、ワインのおススメだったり、自分の気持ちのことだったり。ちなみに私は「山ちゃんと蒼井優さんの結婚記者会見の動画を見ること」を話しました。そういえばレポート冒頭にあげた体操番組も「最近はまっていること」でした。

次にYESNOゲーム。お題の質問に、一方をYES、反対をNOとして、一列に並んでもらいます。「お酒は好き?」「運動は得意?」などどんな人かを知る質問から始め、「介護を経験したことがある」「認知症の人と話したことがある」など、介護にかかわる質問もありました。続いて、「これって介護?」と題して、介護のシチュエーションについて、それが介護だと思えばYES、違うと思ったらNOに並んでもらいます。例えば、「高齢の母親のオムツをかえる」、「お風呂に入る手伝いをする」。これら身体介助は介護と分かりやすいですよね?では、「歩くのを見守るだけ」だったり、「トイレの時間の声掛けをすること」は、介護なのか?どうなのか?また、相手が高齢だと介護だけど、同じことを幼児にするとそれは、介護?、育児?などなど、介護という言葉から生まれるイメージの、その境目を考えてみました。このワークのあとは、輪になって自分にとっての介護とは、を感想含め話してもらいました。これも30秒で二回回しです。色々な意見を聞くことができましたね。

次は、久しぶりの「見守る。」まずはウォーキングからスタートです。最初にスピードをそろえて歩きます。合図したら、徐々に早歩き。次は、合図したら徐々にゆっくり歩き。最後は、早くかゆっくりか、好きな方を選んでいただきます。同じ空間に、早歩きの人とゆっくり歩きの人が同時に存在する空間。パフォーマンスのようで私は見ているだけで楽しかったです。

目をつむったペアを誘導します

今度は参加者同士のコミュニケーションへ。最初はアイコンタクト→ウインク。次は挨拶しながら握手。そして握手しながら空いてる片手で別の人に握手するを繰り返していくワークへ。これは久しぶりにやったんですが、やはり盛り上がりますね。単純なんだけど自然に体がほぐれて参加者同士の壁が一個剥がれる感じがします。

いよいよ本題の「見守る」へ。まずはブラインドウォーク。ペアになり、ジャンケンをして先攻後攻を決めます。先攻の人は目をつむり手のひらを下にして腕を伸ばします。ペアの相手は人差し指を手のひらにあて、ゆっくり歩いて誘導していきます。まずはまっくらな世界を体験してもらいます。交互に暗闇の中を歩くことを経験したら、いよいよ本題。今回は誘導しません。どこにも触らない状態で、目をつむった人は自由に遊んでみます。危なくなったらペアの相手は手を腕や肩にふれて止める、というワーク。今回は声には出さずに触れて止めるというルールでした。これを交互にやったあと、相手が大きな風船に入ったイメージで、その風船のどこかに手をふれて見守る、というのをやりました。ペアで振り返ってもらい、全体にシェア。見守るって、介護だけじゃない、というものや、声を使ったらまた変わったんじゃないか、という感想もありましたね。色々試してみましょう。そうそう、途中で目をつむるのが怖いので、、、と見学を申し出てくれた方がいて良かった。気楽に今回のワークは見学します!と、抵抗感や疲れを感じた時にワークからすっと離れることができるといいですよね。最初のアナウンスでお伝えするのですが、そういう言い出しやすい空気を理想としているので、実現できてちょっとうれしかったです。次回以降の参加者さんも見学したい!といっていただいてOKですよ。

これも誘導中の場面
目をつむって遊んでもらって見守ります

休憩を入れたあとはお待ちかねの田澤君コーナー。

私からのリクエストで、「これはなんですか」をやってもらいました。以前の回で一回やってもらったことがあるのですが何か感じるものがあったんですね。前回は時間押してて巻きでやってもらったのもあって、今回は時間もたくさん使えるスケジュールで組んでみました。まずはおなじみ、「ねえねえ」。一人が「ねえねえ」全員「なーにー?」一人「○○しようよ」全員「いいねえ」で、皆でその○○を表現します。どんどん発想を柔らかくしていきましょう。皆で飲み会をしたり、ごろごろしたりしました。今回は割とインドア系だったかな。

組体操はやりました!

つづいて、「これはなんですか」です。まずは部屋中に参加者さんお持ちの小物を並べます。ペンケース、アイブロウ、雨合羽などが床に散らばった状態になります。次にペアになって、片方が好きなものを指さします。「これは何ですか」相手は「これは、○○です」と答えます、指さした人は「これは○○なんですね」と返事する。ルールはこれだけです。単純なんだけど、奥深い。ペアを交代してやってみます。「これは○○なんですね」、の返事の時に感情こめて返事してみましょう、という指示があり、やってみると相手も乗ってくるのが分かりました。それに自分も、あげて返してもらえるのうれしい。これって日常のコミュニケーションでもそうですよね。まるで子どものように部屋中のものを聞いてしまいました。お題はレベルアップし、○○です、に形容詞をつけます。「○○な□□です。」やってみると分かりますが、形容詞をつけるのも色んな選択肢があるなあと実感しました。ペンケースを見て「青い」か、「四角い」か、「素敵な」か、、、。同じものでも色々な切り取り方があるものですね。さらにバージョンアップ。見たままではなく、別の何かとして答えます。普通のボールペンを指さして「おおきな、くじらです」と答えたりしました。これも発想が豊かになる瞬間。これも、相手に「へえ~、○○なんですね!」とリアクション多めに受け入れてもらえるので、何だか楽しくなってきます。

なんだか私、楽しそう、、、
リアクションが豊かで笑いをとっていたペア
会場の中のものすべて対象です

ここでちょっと考察。「内臓とこころ」という本より、指さしや名づけというのは人間の本質的な体験だ、という話がのっていました。以下、引用、、ルートヴィヒ・クラーゲスという、ドイツの哲学者は、幼児が「アー」と声を出しながら、遠くのものを指さす、この動作こそ人間と動物を区別する、最初の標識だといってます。、、、

さらに、その本では一歳半あたりからこれはナーニ?とひたすら聞き続ける時の幼児の内面を考察しています。つまり、舐め回したり触りまわしたりした感覚の記憶で対応できない目の前のモノ。それを実感するためにこれはナーニ?これは○○だよ、と聴覚で聞いて、音の響きを何度も聞いてそのモノの存在を実感するのだ、というのです。「指をさして、声に出す。」「その名前を名付けて音の響きを味わう。」なんてまんまこのワークのことじゃないですか。そうか、「これはなんですか」は幼児の頃のものを初めて認識した頃の体験を再体験してるともいえますね。

最後の方は、一言で終わるのが惜しくなってました。思い付きで答えた「○○な□□」について、もっと聞いてみたい、話してみたいという想いが生まれました。この後、会話を続けてみたら面白いんじゃないかなあ。演劇的な要素がいっぱいつまってますね。ワークの30秒振り返りも行って、これも有意義な時間でした。

さて、最後のワークに移る前に、「だゆうの認知症講座」です。今回は認知症の定義をさらっと話して、お役立ち情報をふたつほどお伝えしてみました。認知症の定義から、生活とは何かという話へ。そして本日の最後のワーク、「生活の台本」です。まず皆さんに生活行為について思いつくものをあげてもらいました、そして、その中から多数決で台本化するものを決定しました。今回のお題は、、「挨拶をする」!これは私からは決してでなかったであろうお題でした。挨拶をしようと思うところから始まり、最後の挨拶をし終わるところまでを分解して書いてもらいます。それをペア同士で皆の前で読み、相手はその分解した行為を身体で演じます。挨拶、というお題から、挨拶するときの目線、口の開きを分解してみたり、義理の親の家にお盆の挨拶にいく、のを分解してみたりと色々な場面が出てきました。職場だったり、ご近所さんだったり、挨拶って生活に密着してるんだなあと実感しました。それに人によってする場面や想定する場面がバラバラ!挨拶って、生活のどこかに混じりあっていて、多様性が現れる行為なのかもしれませんね。

「挨拶」を、分解して書いてもらっているところ。

最後は「振り返り」今回は、30秒感想回しというスタイルで行ってみました。一人30秒で感想を言う、を二周します。他の方の感想を聞いての二回目は新たな発見があるし、30秒でぎゅっとまとまってて聞きやすかったですね。この感想スタイルは今後もやっていこう、タイムキーパーは田澤君のタブレット。

さて、レポートは以上になります、いかがだったでしょうか?今後も「介護にかかわる人のための演劇ワークショップ」は継続して行っていきます。ご興味ある方はお気軽にご参加ください。リピーターの方が多いのが特徴で、本当に参加してくださる皆様、ありがたい限りです。参加人数も徐々に増えてきていますのでもっと大勢の方が楽しんでくれる場になるよう、精進していきます。

そうそう!今回よっちゃんこと吉田みずほさんがアシスタントで参加してもらいました。いやあ、ナイスアシストありがたかった!さらに振り返りも参加していただきました。吉田さんは役者さんですので、ぜひ出演情報などもチェックしていただければと思います。

次回は9月15日(日)、13時~17時を予定しています。場所は下高井戸駅近く、松沢区民集会所の和室です。ご参加お待ちしております。

最後まで読んでいただきありがとうございました。