認知症高齢者の世界 日本赤十字看護協会 臨床看護実践開発事業委員会編 。代表的な事例「お風呂入らない」「家に帰ります」「ご飯食べてない」を 認知症の方ご本人の中で何が起こっているのか? の視点から考えていく本。 これによって私の気づきは沢山生まれた!
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BPSD(関連しておこる周辺症状)に深入りしないで基本のところを考察する、というのが良い。 「うちに帰ります」がテーマの箇所では「人前で眠ることができる場所」を考える→例えば、電車のうたた寝。(!)なぜうたた寝できるのか要因を分解。(行き先が分かっている。適度な室温。危害が与えられる心配が少ない、など)つまり、「うち」にはなれなくても安心できる電車の中ぐらいを目指そうと提言。
また、「ご飯を食べない」事例では 関係性を深めてその方の話を聞けるようになると 外の木が知らない男の人に見えている、ご飯の中に虫が入ってるように見えている、ことが判明。確かにそんな状況だったらご飯いりませんというだろうな、と共感&納得。 その原因を一つずつ解決して食べることができた事例。前提として、関係性を作る、安心して話せるようにアプローチしていくことが重要。
解決事例も多数。昔からずっと我が家で住んでいるはずの認知症の母が、「家に帰ります」と言われる。言い聞かせても効果はなく、半ばあきらめて一緒に部屋の中をぐるぐると回って「はい、おかえりなさい」と言うと落ち着いたという具体例に驚き。解決事例を沢山知ってると介護職としての引き出しになりますね。そもそも、身体状況の把握が大事とのこと。
認知症のタイプは何か、便秘や脱水はないか、睡眠や食事状況は?などの要因を分析することの重要性。 看護側から書かれた本だが、介護職としても納得&目から鱗多数でした。具体例がわかりやすいので家族介護の方にも役立つ本だといえます。また、うわべだけの対策はその場限りになってしまいやすい、医療に頼りすぎてしまう(安定剤で落ち着かせる)などの問題点があるように思います。その前にアプローチを変えることで解決してしまうことがある、ということは知っておいてほしいし、それこそが認知症介護の本質につながるのではないでしょうか。