ぼくは福祉で生きることにした を読む

「ぼくは福祉で生きることにした お母ちゃんがくれた未来図」 河内崇典著 を読んで面白かったので紹介します。(↓画像をクリックするとアマゾンのページに飛びます)

職場にあった本をお借りして読み始めた。そしたら止まらず、他に読みかけもあったのだがするすると読んでしまった。大学生時代の障害者支援のアルバイトをきっかけに、福祉事業所を立ち上げた著者の自伝的ノンフィクション。著者の猪突猛進型の著者のキャラクター、こういうタイプの立身出世物は苦手なのだが、どこか憎めないキャラクターと読みやすい文章で大丈夫だった。あと、どんどん行き過ぎてしまう著者の行動、その展開にどうなるの?と興味を引かれたのは事実。

私は高齢者支援のしごとをしているため、障害分野の経験が少ない。なのでガイドヘルパーの仕事がどんなものか、興味を持って読むことができた。そこでのトラブルエピソードが鮮烈。フードコートで、利用者さんが近くにいた子どもをふんずけて怪我させてしまうなど、、、。これ読んで介護職って怖いって思わないかな?と思うくらいでした。

本で著者が立ち上げたみらいずという企業は、ヘルパー派遣のコーディネイトが事業の柱。私が一番おおっ!と思ったのは、夜間や早朝の時間外支援の単価が2003年の支援費制度によってかなり上がり、売上高が大幅アップしたエピソード。制度によって左右される現実があり、タイミングがあえばこういうことも起こりうるんだな、、、。やはり制度や福祉のニュースを知っておくことは、介護事業所にとっては重要だと学んだ。

ストーリーに引き込まれて読んでしまうが、後半の被災地支援で職場を半年もあける。恩人の死である意味ヤケクソになり、自分を顧みずボランティアにのめり込んでいくところは物語として引き込まれるところ。あれ?と思ったのは、その後の再起のエピソード(そこからきっかけがあり大事なものに気づいて通常のしごとに戻っていくなどの)展開があると思ったが特になく終わるところ。ただ、東日本大震災の被災地支援の記述で「本当に避難や支援が必要な人ほど、避難所に来ない」という一言にはハッとさせられた。障害者や高齢者など、迷惑かけると思って避難所に来れない。だからそのための支援や工夫が必要なのだろう。令和6年能登地震があったため、この箇所の記述は重要な参考情報になっていきそうだ。

この本では福祉に飛び込むきっかけになったのは、とある一人の障害者の母親。その勘違い(あんたはいい子やねえ、という言葉)を裏切れず、障害者支援のバイトを続ける記述がある、、、。福祉のしごとをする裏側には誰でも、その人にとっての大事な出会いや信頼があるのかもしれない。私の場合は母方の祖母だろう。いつも「ツチくんは優しいね」と言ってくれて「そんなことないよ」というと「大丈夫、おばあちゃんはわかるから」と言ってくれていた記憶がある。この本を読んでそんな記憶を思い出したりしました。 いつか映画化するんじゃないかな?と思える本です。

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