新宿ミラノ座の中に美容院?検索しても出てこない情報とは

職場のデイサービスのご利用者で、80代で最近まで美容師やっていた方。「若い頃は新宿のミラノ座の中にある美容院で働いていた」とある日の思い出話しの中で、おっしゃった。 ミラノ座って昔の映画館ですよね?映画館の中に美容院があるの?と不思議に思って色々聞いてみた。

映画館の中にあったのは、コーセーがやっていた美容院とのこと。「パスがあるから、最後の30分だけ映画見たりしてね。カトレア美容院という名前。午前中は奥様、午後はお水(水商売)のお客さん。お水といっても銀座のお客さんが多かった。先輩が前に銀座でお店やってて、そこのお客さんを連れてきた。お客さんもカトレアですって言ったら中に入れるから、美容院のあと映画見ていったりしていた。いい時代だったね」 とのこと。設備として、入り口が一緒で映画館に隣接していたのだろうか?wikiをみると新宿東急文化会館という複合施設だったことが分かる。

↓ウィキペディアによるミラノ座

新宿TOKYU MILANO – Wikipedia

お水の人は気前がよくチップをくれたそう。「お金忘れたわ、貸してと言われて2000円貸したら5000円で帰ってきた。チップはためておいて、まとまったらスタッフの人数で割って配った。みんなのおかげだからね。」美容師さん堅実!

ある日、お水の人が同伴?したせいか服が昨日と同じだった。「あなたいいの着てるわね、今日私のと交換させて」と言われて「そんな派手なの着て帰るの恥ずかしいわよ」といったら「じゃあタクシーで帰ればいいじゃない」とタクシー代を出してくれた。 また、ある時は店に同伴してくれと頼まれた。「女でもいいの?」と聞くと「いいわよ、お客さんなら」と。そしてお店に一緒にいくと「良かった遅刻にならないですんだわ」 と言ってたと。同伴すると遅刻扱いじゃないらしい、、。 そんなお客さんとのやりとりを楽しそうに話してくれた。今から60年位前か?昭和30年代~40年代あたりと推測。

ミラノ座にあったという、カトレア美容院もネット検索しても出てこない。今の時代、たいていのことは全て検索できると思いがちだが、検索できない情報があることにハッとする。コーセーに聞いたら分かるのだろうか?

以前、渋谷駅前には甘栗太郎と東京パンってパン屋があってね、、、と仰っていた昭和一桁世代のおじいさんがいた。東京パンは検索しても出てこなくて、本当かなと思っていたら宮脇俊三さんの鉄道エッセイにその名前を見つけたときは興奮した。その後、白根記念渋谷区郷土博物館でジオラマに東京パンの模型を見る機会があり、あのおじいさんが見ていた光景はこうだったのか、、、!と静かな興奮があった。これは、一般的には大した価値がない情報なのかもしれない。ただ、すぐにアクセスできる時代にたどり着けないものがあり、それがアナログ的につながり発見できたときの感動は言葉で言い表せるものではなかった。今回の美容院も、いつかたどり着くことができると信じて待とうと思います。

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